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美しいくらし
フランスの小さな村だより12カ月 写真と文
木蓮
8月 養蜂を始めよう!

 「この世で一番怖いものは?」と聞かれたら、何の迷いもなく「蜂」と答えていた私。そんな私が今では蜂を可愛いと思うまでになったのですから、人生は本当に面白いですね。
 いつから蜂に興味を持ったのかと思い返してみると、「世界的に蜜蜂が減少している」というニュースを見かけることが多くなったからでしょうか。自然の中で暮らしている私に少しでもできることはないかと考え、養蜂を始めることにしたのです。

 最初に手がけたのが、「蜜源植物(蜜蜂が蜂蜜を作るために花から蜜を集める植物)」を育てること。もともと我が家の畑には、ニセアカシアや栗、桜、桃など、さまざまな木が植わっていたのですが、マスタードを一面に咲かせ、ラベンダーをせっせと増やし、少しずつ少しずつ蜂の住みやすい環境を整えていきました。


 蜂の減少に心を痛めていたのはどうやら夫も同じだったようで、近くに住む養蜂家ジャン=ピエールの元へ足しげく通うようになりました。ジャン=ピエールは御年84歳。誰が見ても60歳くらいにしか見えず、年齢不詳の心優しいおじさんです。おまけにハチミツのおかげなのか、とにかく肌もつやつやでうらやましい限り。

 実は昨今のオーヴェルニュの養蜂事情は深刻で、2021年の春は80パーセント近くの蜂が死んでしまった所もあると教えてもらいました。理由は寒さ。5月になっても花がなかなか咲かず、花が咲いても花粉がほとんどなかったからです。

写真右がジャン=ピエール

家族での採蜜風景


 そんな環境の厳しさを乗り越え、初めて家族みんなで採蜜したときの感動は、今でも忘れられません。巣箱から巣枠を取り出し、蜜蓋をナイフで外したら、その巣枠を遠心分離器にかけます。最初はゆっくりと、徐々に回転を速くしていくと、蜂蜜が次第に落下していきます。巣枠を表裏2回ずつ、分離機に計4回かけ、すべての巣枠が終わると、やっと蛇口をひねります。
 すると黄金色に輝く蜂蜜が! 思わず歓喜の声が上がります。


 今年の春に採れた蜂蜜は「Miel Mille Fleurs(千の花の蜜)」。日本では百花蜜と呼ばれる、さまざまな花の蜜を集めた蜂蜜です。ティヨール(菩提樹)、ニセアカシア、栗など、たくさん種類の花の香りが鼻の中に広がり、味も華やかかつ濃厚です。

 1匹の蜂が一生に集められる蜂蜜は、わずかティースプーン1杯。最後に巣枠に残った蜂蜜は、もう一度蜂たちの元へ返してあげます。
 「ありがとう」と感謝の気持ちを込めて……。(つづく)


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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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