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美しいくらし
南仏とロゼワインのすてきな関係 ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル 代表
山本ひとみ
最終回 日本各地を「ロゼワインのまち」に
 ワインのプロでなくても、行く先々のワイナリーでたくさんのロゼワインを試飲し、ホテルに持ち帰って部屋に並べ、さらに検討していくうちに「勝手に舌が肥えてきた」と笑顔で語る山本ひとみさん。最終回は、バリエーション豊かな味を地元の人たちはどのように楽しんでいるのか。そして、南フランスのロゼワインを通して達成したい今後の目標について聞きました。

写真提供:ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル

庶民に愛される味は和食ともぴったり


―― 日本ではワインといえば白や赤のイメージが強くて、ロゼワインはあまり飲まない人も多いと思います。南フランスの人たちはどのようにロゼワインを選び、楽しんでいるのですか?

 フランスではここ数年の間に白ワインの消費量を抜いて第2位となるなど、ロゼワインの人気が高まっています。ワインに限らず、「これ」と決めたらひと筋で浮気しないのがフランス人気質。パン屋さんにしても、ケーキ屋さんにしても、同じお店でしか買わない印象があります。
 南フランスの人々の生活スタイルに欠かせないロゼも、「うちのロゼはこれとこれ」と銘柄が決まっていて、週末に車でお気に入りのワイナリーに行き、ケース買いをしたり、大容量のボックス型を手に入れたりする人が多いですね。蛇口が付いたボックス型はボトルタイプに比べて安いし気軽に飲めるので、ロゼが身近な南仏ならではのチョイスといえます。量り売りも一般的。家庭から空き瓶を持って行って、タンクや樽から直接ワインを入れてもらうのです。

 日本人は「ワインは語るお酒」「ちょっと高尚な飲み物」というイメージを持っているかもしれませんが、南仏の人々にとってのロゼワインは、毎日の食卓に当たり前のようにあるもの。家族や友人とのくつろぎの時間を彩る庶民的な飲み物なのです。

写真提供:ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル

―― 飲み方や料理の合わせ方に、特徴やルールはあるのでしょうか?

 南フランスの人たちはアペリティフ(食前)の時間が大好きなので、夕飯前から飲み始め、おしゃべりとともにオリーブをつまみながらロゼワインを楽しんでいますね。そして、料理が出始めても白ワインや赤ワインを飲まずにそのまま最後までロゼという人も多いです。その理由は、ロゼはどんな料理にも合うから。「あえて合わないものを探すほうが大変」と友人たちともよく話すのですが、それもそのはず。赤ワインのコクと白ワインのさわやかな酸味、その両方をバランスよく持ち合わせているのがロゼ。つまりロゼは実にフレキシブルなワインなのです。フランスの家庭料理はもちろん、中華、和食、エスニック、アフリカ料理、アウトドアのバーベキュー、どれでもOKです。

 個人的には、シンプルな味つけで素材の旨みを生かした和食にとても合うと思っています。たとえば、季節の野菜や肉、魚の塩焼き、煮物、天ぷらなど。お寿司は白ワインよりむしろロゼワインを合わせるほうが好きですね。ロゼは味わいに適度な丸み、まろやかさがあるので、酢飯とよく合うと思います。また、メロンやイチジクなどのフルーツとも相性抜群です。アペリティフからデザートまで、ロゼがあれば困りません!

暮らしのワンシーンに淡いピンクの彩りを


―― 今後の目標を聞かせてください。

 一つは、日本にロゼワインのファンを増やしていくことです。春のお花見に始まり、ピクニック、キャンプといった行楽のお供や、ホームパーティー、クリスマスパーティー、お誕生会など、そこに淡いサーモンピンクのロゼが1本あるだけで、シーンに華やかさと明るさを与えてくれます。南仏には小さい町や村がたくさんあり、海があり、山があり、語りきれない魅力があります。たとえば「海のロゼ」を飲みながら、「このロゼワインはどこで造られているんだろう・・・」と、地図を広げ、写真を眺めて、「いつか行ってみたいな」なんて想像しながら飲んでもらいたいですね。
 ロゼを飲みながら南仏に思いをはせる人が増えるほど、私が最初に考えた「ワインを通じて南フランスを身近に感じてもらいたい」という望みも果たせますし、「飲んで終わり」ではないアイテムになれると思っています。

 もう一つの目標は、静岡市を「ロゼのまち」にすることです。いずれは静岡市だけでなく、「ロゼのまち」を日本各地に増やしていきたいと考えています。静岡市とカンヌは姉妹都市ですが、鎌倉はニースと、神戸はマルセイユと、熊本はエクス・アン・プロヴァンスと、それぞれ姉妹都市の提携を結んでいます。おいしいロゼワインを通して「ロゼのまち」が日本各地に増えていき、南仏と姉妹都市の関係にある土地との交流が深まって、盛り上がってくれたらそれこそ本望です。

 「2つの目標をかなえるためにも、覚えやすいネーミングとストーリー性のあるロゼワインを、もっと多くの皆さんに紹介していきたい」と語ってくれた山本さん。人生を心から楽しむ南フランスの人々のように、キリリと冷えた辛口のロゼワインを片手に、ゆったりとしたひとときを過ごしてみたくなりました。(おわり)

(構成:宮嶋尚美)

【ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル】
https://picole.thebase.in/

2024年3月16日 開催!
ーフランス本関連イベントー

【ロゼワインと巡るフランスの小さな旅~2024年春~】


ロゼワインとフランスをテーマにしたブックイベントを、2024年3月16日(土)に開催します。「かもめの本棚」の人気書籍「フランスの村シリーズ」(東海教育研究所)に綴られたフランスの風土や文化を、その土地に育まれたロゼワインの味わいを通じて体験できる催し。ナビゲーターは、おいしいワインを求めて南仏を何度も訪れている「ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル」代表の山本ひとみさんです。南フランスの春風を感じる特別なひとときを、桜色のロゼワインとともにお楽しみください。

★イベントの詳細・申し込みはこちら

⇒⇒



【開催日時】2024年3月16日(土)


 ①第1部:11:00~13:00
 ②第2部:14:00~16:00 
 第1部と第2部の完全入れ替え制で開催 ※各回2時間
【会場】渋谷のおうちギャラリー&キッチンスタジオ
 東京都渋谷区渋谷3丁目12-25
 https://capeanne-shibuya.com/

【募集人数】1回12人(1回の最少催行人数8人)
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【やまもと・ひとみ】
静岡県生まれ。1995年、静岡県立大学国際関係学部に入学。在学中に休学して渡仏。ロワール地方の田舎町やパリ、リヨン大学が運営する外国人向けフランス語コースで約2年間フランス語を学ぶ。大学卒業後は東京の食品輸入商社勤務を経て静岡市に移住。2002年、フランスの暮らしや文化を紹介するフリーペーパー『エクラタン』を創刊。2010年にフランス語スクールと文化の総合スペース「エスパス・エクラタン」を開設。2019年、南仏ロゼワインの輸入販売を手がける「ラ・メゾン・ド・ラ・ピコル」を設立。「フランス」をキーワードに多彩な活動を展開中。
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