私にとって春の色といえば、まさしく「黄色」。
2月から3月にかけてマルシェを彩るレモンやオレンジの鮮やかな色は、鈍色の空の下で過ごした冬の終わりを告げて、やっと訪れる暖かな春を連想させるのです。
スティック状のオレンジピール
輪切りのオレンジピールにブラックチョコレートを合わせたオランジェット
この時期の楽しみといえば、やはりオレンジやレモンを使ったピール。
フランスではBIO(ビオ=有機、オーガニック)のオレンジやレモンが簡単に手に入るので、まとめてつくって保存すれば、お菓子づくりや鶏肉のソースに大活躍します。
時にはブラックチョコレートにくぐらせ、オランジェットにしてお茶の時間の楽しみに。
子どものころは、あのほんのりとした苦みが嫌いだったマーマレードも、今では大好物。オレンジピールを細かく刻んで入れたスコーンとともに楽しみます。
今年は、イタリアに住む友人に教えてもらったお菓子にも挑戦。
オレンジのさわやかな香りとともに、窓辺に訪れる野鳥たちを眺めながら、まだまだ離れられない暖炉の前で暖かな春を待ち望んでいます。(つづく)
オレンジピール入りのスコーン
イタリアの友人に教えてもらったオレンジケーキ
【今回の“とっておき”は……】
マントンのレモン祭り
南仏コート=ダジュールにあるマントンでは、毎年2月中旬から3月初旬まで、「レモン祭り」が開かれます(写真は2017年のマントンのレモン祭り)。この時期に街を訪れると、駅に降り立った瞬間からさわやかな柑橘系の香りに包まれ、柑橘類が好きな私は幸せな気分に浸れます。
それもそのはず。レモン祭りが行われている会場は、一面のレモンやオレンジで埋め尽くされ、それらを使ったコンフィチュールやシロップなどの商品がところ狭しと並んでいます。
こんなふうに、その土地ならではの特産品がいろいろあるフランスの地方。旅の思い出に買って帰り、料理やお菓子に使って、もう一度その香りや味を楽しみます。 ★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/
※WEB連載原稿に加筆してまとめた『フランスの花の村を訪ねる』が(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)絶賛発売中です。
WEB連載「フランス 花の村をめぐるたび」はこちらをご覧ください。
WEB連載「フランスの花の村を訪ねる」はこちらをご覧ください。
【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。