かもめの本棚10周年を記念して募集した「旅と食」のエッセイ。全国から寄せられた多数の魅力あふれる応募作品の中から、本連載では編集部が選んだ5作品を紹介しています。2作目は、親子の旅の思い出が詰まった作品です。南の島での親子二人旅
内藤久士(京都府、52歳)
10歳になる息子と二人旅に出た。さまざまな経験をしてほしいとの勝手な親の想いを持ち、南西諸島へ。
赤瓦の古民家が美しい竹富島を自転車で巡る。貝殻と砂の道を走り、青い空と青い海を眺め、牛にビビりながら島を一周。この美しい風景を見ろよ、感動しろよ。
息子は子ども用自転車でオフロードライダーのごとく、どんどん先へ行ってしまう。汗かき、最後に食べたソフトクリームの味だけが記憶に残る。
翌日は船で沖に出てシュノーケリング。岩場に色とりどりの魚。「おおっ、カクレクマノミもいるぞ」。息子にも美しい海の景色を見てほしい。「もっと遠くへ行くぞ!」は俺。「寒いから船に上がる」は息子。海の中にいたのは5分。記憶に残ったのは船の上の温かいお茶の味。
夕食は民謡酒場へ。普段は偏食の激しい息子。俺の好きなものを注文してオリオンビール。息子は……と思ったら、食べる食べる。チャンプルーにミミガー、海ぶどうにラフテー、ソーキそばにソーキチャーハン。「うまい」。エイサーが始まると楽しさも絶好調。食べて、踊っての充実した時間。「うまかった。また来ような」。食事だけかよ、と俺は複雑な気持ち。
まっ、いいか。息子よ、たくさん食べて元気に育ってくれ!
※本記事は一般公募によるエッセイです(現在は受付を終了しています)。
※記載されている内容は筆者の体験や感じたことをもとに綴られています。
※登場する場所やお店の情報・商品・メニューなどは現在と異なる場合があります。
※内容に関するお問い合わせにはお答えできかねますので、あらかじめご了承ください。
※掲載にあたり、表現・表記の調整を目的として一部編集を行っています。――心に残る風景。旅先での思いがけない出会い。そして、その土地で味わった忘れられない一品。そんな旅と食にまつわる作品を引き続き紹介します。次回もどうぞお楽しみに!◆かめの本棚のWEBマガジンや書籍で活躍する著者たちがつなぐリレーエッセイ
【忘れられない旅と味】はこちら
⇒
https://www.tokaiedu.co.jp/kamome/contents.php?i=1748