7月は波浮港の氏神様である波布比咩命(はぶひめのみこと)神社の祭禮があります。新型コロナまん延中は中止になっていて昨年から再開。私も初めて島民として、また氏子として参加しました。
祭礼の数日前には波浮港の婦人会や青年団、消防団の皆さんと一緒に境内の草取りをし、きれいに掃き清めています。皆さん手慣れた様子で知り合いとおしゃべりをしながら手を動かしていくのを見習って私も軍手にほうきを持って地面に落ちている枯れ葉を掃き、雑草を抜いていきます。男衆はその後をブロワーと呼ばれる道具を使って一気に吹き集めていきます。きれいになった社殿と境内は清々しく、心まで清められる思いでした。
ハブカフェのある中通りには提灯が飾られます。昭和の時代にはそれはそれはにぎやかだった商店街の面影は残念ながら薄れていますが、それでも昨年オープンした古民家の宿泊施設や喫茶店など新しい店舗が増えたことで、提灯に灯りがともり、人が行きかう夕暮れ時の風情はなかなかのもの。私がハブカフェのある古い家をゆずってもらった6年前と比べ、波浮港にゆるやかににぎわいが戻ってきたことをしみじみと感じています。
前夜は「夜宮(よみや)」として境内で奉納の踊りと唄が披露されます。
小さな境内には見学する人たちがたくさん。偶然、波浮港に泊まっている観光客の方の姿もあります。昔ながらの演目を朗々とうた謡いあげているのは、なんといつもお世話になっている清掃会社のHさん!おだやかでいつもニコニコと控えめな笑顔のHさんがみごとな声量と唄声を境内いっぱいに響かせています。その堂々とした謡いっぷりには感動しました。そして演目ごとに踊るのは子どもたち。彼らがこの夜宮のためにずっと練習をしていたことを波浮港の誰もが知っています。家族だけでなく、そこにいるすべての人たちが伝統の舞いを一生懸命に踊る子どもたちを見守ります。
翌日の本祭は早朝から始まります。獅子舞を先頭に境内から出発した神輿が各地区を練り歩きます。昨年は私も営業中のカフェで獅子舞と神輿をお迎え。お神酒を頂き、神さまに挨拶をすると、男衆が「ハーブ―カフェぇぃ!」と叫びながら入口で縁起よくたっぷりと揉んでくれました(揉む=神輿を大きく動かすこと)。後ろから続くのは子ども神輿。ミニサイズの神輿を大人たちに囲まれながら威勢よく担いで通り過ぎます。朝早くからジリジリと焼け付く7月の太陽に、光る子どもたちの汗と生命力。彼らにとって今日の経験がふるさとの島での思い出としてしっかりと刻まれることでしょう。
祈りと感謝の気持ちに包まれて、波浮港の夏が始まります。(つづく)