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美しいくらし
行ってみたいフランスの小さな村 写真と文
木蓮
最終回 新たなる旅に向けて
 私が暮らすフランスのおへその位置にあるオーヴェルニュ地方。
 少し標高の高い場所にある我が家からの眺めは、寒暖差が激しいため、この時期になっても雲海を眺められる日があります。


 その先に薄っすらと見える墨絵のような村々。朝陽とともに目覚めた鳥のさえずり、馬やロバがゆっくりと闊歩し、どこからともなく雄鶏たちが競い合うように歌う声が聞こえてくる日常。旅先から戻った朝の景色は、世界で一番美しく、ホッとできるものだと感じています。


 さて、長い間「かもめの本棚」さんにて、多くのフランスの村について書き綴ってきたこの連載も今回で最終回。そこで、「木蓮さんが次に行きたい村のお話を聞かせてください」とお話をいただきました。
 訪れてみたい村は、まだまだたくさんありますが、今、一番関心があるのは「ブルターニュ地方」。なんといっても、私の大好きな「伝説や神話」がたくさん眠り、大好きなケルト文化とは切っても切れない関係にあるからです。

カルンナック列石

 今回の本(『フランスの小さな村を旅してみよう』)では書くことができなかったのですが、カルナック列石もその一つ。世界最大規模の巨石群遺跡として知られ、3000にも及ぶメンヒルと呼ばれる直立巨石やドルメンと呼ばれるお墓があり、いまだ何のために作られたのかは、完全には解明されていません。
 そして、本の中(156ページ)でご紹介したロクロナン村の『LA GRANDE TROMÉNIE(ラ・グランド・トロメニー)』。ブルターニュ地方最大級のパルドン祭りですが、ケルトの精神が根付く典型的な巡礼の一つで今もなお残る大切な伝統行事です。次回は2025年に行われるので、ぜひ参加したいと思っています。

ロクロナン村

ラ・グランド・トロメニーの様子


 そんなブルターニュ地方の中でも、神秘的な朝焼けと一緒に見てみたいと思う場所の一つが「ブロセリアンドの森」です。名前を聞いて思い出す方もいらっしゃるでしょうが、この森はアーサー王伝説の地でもあるのです。魔術師メルラン(マーリン)、円卓の騎士ランスロット、妖精ヴィヴィアーヌ……。彼らが暮らしていたと言い伝えられるその森には、伝説に縁のある場所がたくさんあります。

 例えば、帰らずの谷として有名な「Val-sans-retour」。この小さな谷は伝説に満ちており、11世紀末以前に口伝されていたとされています。魔女モルガンによってかけられた魔法により、女性に対し不実な騎士たちをこの谷に閉じ込めたという場所。男性にとっては恐ろしい場所です。
 のちに、ランスロットによって253人の騎士たちが解放されたそうですが、女性に対して不誠実な騎士がそんなにもたくさんいたことのほうが、私にとっては驚きでした。
 ほかにも「妖精たちの鏡」や「若返りの泉」、「黄金の木」など、森の中には魅惑的な場所がいっぱい。近くのPimpont(パンポン)村と一緒に訪れたいなと思っています。

 そのほかにも、行ってみたい町や村、訪れたい職人さんや食べてみたい地方の特産物など、私の興味は尽きることがありません。みなさんが再びフランスを自由に旅行ができるようになったときのために、これからもさまざまな情報を書き続けていきたいと思います。


 それでは、みなさん。また逢う日まで!
 À bientôt

――ほんのひとととき日常を忘れ、フランスの小さな村を一緒に旅しているかのような気持ちにさせてくれた木蓮さんの連載は、今回で最終回を迎えました。とはいえ、フランス在住の木蓮さんの旅はまだまだ続きます。きっとまたいつか、必ずお会いできる。その日を今から楽しみにしています。(編集部)

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【もくれん】
神戸出身。フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュの人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。フランスの小さな村の美しさに魅了され、「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、訪ねた村々をブログで紹介。みずみずしい写真と住んでいる人間ならではの視点で人気を呼んでいる。著書に『フランスの小さな村を旅してみよう』『フランスの花の村を訪ねる』(東海教育研究所)。
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